複雑&重症先天性心疾患の胎児診断率向上プロジェクト
長野県の胎児心臓超音波検査法の検査技術と
胎児診断率の改善を目的とした
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Purpose and background
プロジェクトの
背景および目的
先天性心疾患は全出生のおおよそ1%に認める比較的頻度の高い先天性疾患であり、重症先天性心疾患は乳児期の主要な死亡原因である。超音波機器の進歩、胎児先天性心疾患のスクリーニング検査の啓蒙と普及事業により、胎児心臓超音波のスクリーニング検査数は本邦においても経年的に増加し、胎児期先天性心疾患の診断率も上昇している。
一方、出生後早期に集中治療、カテーテル治療および心臓外科手術を必要とする重症先天性心疾患の胎児診断率は疾患ごとに依然として大きな隔たりがあるのが現状である。
長野県においても左心低形成症候群、完全大血管転位症、大動脈縮窄・離断症、総肺静脈還流異常症の胎児診断率(過去4年)は、それぞれ100%,68%,29%及び15%と大きな隔たりがあり、重症心疾患の胎児診断率はおおよそ60%前後と十分なものとは言えない。
長野県において、出生後早期に致死的な病状を呈し、病態が増悪する先天性心疾患を早期診断し,治療成績を向上させ、患児の救命や予後改善をさらに進めるためには、さらなる胎児診断率の向上が必要である。それが、患者および家族の幸福に繋がると考えられる。
この目的を達成するため、地域の産科開業施設や一般病院の超音波技師、産科医師の胎児先天性心疾患スクリーニング力の底上げが不可欠である。
一方、胎児先天性心疾患のスクリーニングに携わる検査者は多施設に所属し、その技術レベルも様々であり、地域全体としての診断技術の向上には新たな教育、スクリーニングシステムの導入が必要と思われる。
本研究では、胎児診断の困難な重症先天性心疾患の胎児診断率を80%以上に改善するための新たな胎児診断に関するシステムを構築し、その有効性を検証する。
プロジェクトリーダー 瀧聞 浄宏
長野県立こども病院
循環器小児科部長
移行期医療支援センター長
エコーセンター長